展樹の会 初めての集まり

台風の直撃が予想された9月4日。池袋にあるアラビアレストラン「月の砂漠」で、初めての会合が開かれました。

 

日本に古くから根付いている文化や道と名のつくもの・・・それらには垣根や壁がありません。そして自然と仲良しです。そんな日本文化が、現代の国内外に向けてできること、何らかの役割、そういうものがある気がしてなりませんでした。

ではどうすればいいのか・・それを模索するために、ごはんを食べながらざっくばらんに語ってもらおう。そんな思いからの出発でした。

 

電車の遅延があったりはしましたが、風雨は予想ほどひどくはなく、ありがたいことに12人が集まってくれました。いったい何が始まるの?どんな人が来るの?という思いの方もいたでしょう。まずは一人一人の紹介をさせてもらいました。

様々な活動をなさっている魅力的な方たち。尊敬する方たちばかりです。

 

そして、貴重な泥染や藍の染物などから衣服を作り、フランスでも作品を発表なさっているOさんからお話の口火を切っていただきました。

フランス人は日本が大好き。日本の文化にとても興味を持っている。・・Oさんの底抜けに明るく豪快なお人柄もあるのでしょう、どこに行かれても作品は大人気だったそうです。うれしいことです。

 

 一方、3年間の茶道修行の後、京都で着物の連続講座を担当している最年少のMさんからは、若い人はほとんど来ない、興味を持つ人も少ない、という率直な声も聞かれました。

 いくらこちらから日本の文化を紹介したいと思っても、押し売りをするわけにはいきません。簡単ではない問題があるのも再認識した次第です。

 

 Mさんのお母様、呉服店を営むYさんからは、着物の柄に込められた願いや祈りに関するお話が出て、みなさんから感嘆の声が上がりました。もっと聞きたい、知りたい、誰もがそう思った様子。いつかぜひそういう機会を設けられたらと思います。

 

 不登校やひきこもりの子供たち、非行を犯した少年たちに長年がっぷり関わってこられたY先生からは、文化などという言葉からは程遠い現状のお話もありました。

 感覚が違う。価値観の相違。・・そう言ってしまえば終わりです。「現状」は現在の状態。未来は変わるかもしれません。(本当にそうであることは、次回の京都会合で明らかになります。)

 

 そんなお話を受け、13年間のアメリカ生活でのカルチャーショックと詩吟との出会いについて話してくれたKさん。月の砂漠オーナーのリクエストで実際に詩を吟じてくださり、今の時代にも受け入れられるべく独自の活動をする彼女の姿と吟に、若いMさんも感動していました。

 

 書、しかも筆禅道と名付けられた精神文化の面も併せ持つ習い事のために高速道路を飛ばすのは、いつもパワフルで太陽のように明るいHさん。そういうスタイルの書道もあるのかと感心してしまう内容のお話でした。

 真っ白な和紙に向かう緊張感。清々しい墨の香り。・・多くの方に知ってもらいたい世界です。

 

 実際に蚕を育て、繭から糸を紡ぎ、草木染めをし、織物までしてしまう沖縄のOさんからは、興味深い績む紡ぐのお話などとともに、現在学んでいらっしゃる最中の折形礼法に関するエピソードが語られました。思いは形に込められ、相手にも確かに通じるのですね。

 

 色彩の持つ力について長年勉強してこられ、人間の魅力を引き出し、またカウンセラーとしての実力もすばらしいSさんは、ホームレスとなってその仲間と何かをしてみたいという前出の「世捨て人」Y先生に、明るいツッコミを入れていました。

 この先も広い視野からこの集まりを見守ってくれそうなSさんは、いつも頼もしい存在です。

 

 そして、京都の大きなお寺で参与を務めていらっしゃるO先生は、予防医学やメンタルストレスを扱うNPO法人の理事長兼メイントレーナー。O先生が聞かせてくださったそのお寺さんが描く日本文化に関する働きかけは、大変力強くありがたいものでした。

 お寺はお寺だけのものではなく国の宝であり、心ある人たち、祈りある人たちに向けて常に開かれている。・・

 「坊さんが大嫌いだった」というY先生も、O先生のお話に安心され、来てよかったとおっしゃっていました。

 

 最後に、一歩後ろから話し合いを聞いていてくださった月の砂漠のオーナーである友人に、まとめのお話をお願いしました。

 すると彼女からは、縄文人の生活の視線についての興味深いお話がありました。そこからやはり、ホームレスになってその人たちの視線から世の中を見てみたいと。

 書のHさんもホームレスの女王様になりたいとのことですし、日本文化の集まりながら笑いも飛び交う楽しい会合となりました。

 

 交通事情などもあり、残念ながら一足先に帰らなければならなかった、風呂敷包みやラッピング講師としての第一人者、ライフスタイルデザイナーのCさんからはお話を伺うことができませんでしたが、次回を約束してドアに見送りました。

 

 終会してからも、立ち話が続いてなかなか解散となりません。船が出るぞ〜と声をかけて出発を促しました。笑

 今回、当初の目的に対する具体的なお話は出ませんでしたが、お互いの人となり、していることや考えていることを知ってもらえたこと、それでよかったのだと思います。

 先を急ぐことなく、しかしせっかく持つことのできた集まりです、一歩ずつ、お寺さんとのご縁も大切にしながら歩んでいけたらと思います。

 

 

 次回は、9月9日岐阜以西にお住まいの方にお集まり願った、そのお寺さんでの会合報告をさせていただきます。

 その後は、お一人お一人が取り組まれている日本文化やその周辺の事柄について書いて(またはお話しして)いただき、順不同でここにアップしていこうと考えています。

 どうぞお楽しみに。